目が覚めると、黒い軍服姿で冷たい目をした男が私を見つめていた。どこかで見たことのある顔だ。確か……そうだ。部下に調査させた、帝国の要注意人物リスト。その中で見たはずだ。名前は確か…… 「目が覚めましたか。王国軍元帥殿」  逃げだそうとしたが、首から下が動かない。椅子に座らされ、縄や拘束具などは着けられていないようだが、何らかの方法で自分からは身体が動かせないようにされているらしい。広くはない部屋の中は、今自分が座っている椅子以外に、机と椅子が一組、そして簡素なベッドがある。複数あるドアはどれが出口に繋がっているのだろうか。 「逃げられませんよ。もしこの場を切り抜けて外に出たところで、あなた一人ではまたすぐに捕まってしまうでしょう。あなたはここがどこか分かっていますか?」 「うっ……」  ここがどこなのか。この建物に見覚えがない以上、推測するしかない。目が覚める前の最後の記憶は……そうだ。王都に侵入してきた帝国兵を捕らえるために、指示を出していたような……しかしこうして、帝国軍の要注意人物筆頭、ラムゼイスに拘束されている。ということは、私はいつの間にか帝国軍に捕らえられてしまったということだ。 「ここは……帝都なのか?」 「さあ、どうでしょうね。まあ、そうやって隠すほどの情報ではありませんが」  ラムゼイスはどうやら帝国軍の中では特殊な立場らしく、任務で帝都を離れるようなことはあまり多くないらしい。ならば、やはりここは帝都か、そうでなくてもその近辺である可能性が高いように思う。ラムゼイスに教えるつもりが無い以上、今ここで確認することはできないが。 「私は……これからどうなるんだ?」 「私が任されているのはあなたを調べることだけです。その後、あなたがどうなるのかは私が判断することではありません」  ラムゼイスは検査器具と思しき様々なものを準備しながら淡々と話す。それどちらかというと、何の感情もないわけではなく、自分の心情を押し殺して冷静に振る舞っているように思えた。 「ではこれから、あなたを調べます。余計な抵抗をしない方がいいですよ。なるべく痛めつけたりしない方法を採るつもりですが、抵抗されると荒っぽい方法を採らざるを得ませんから」  こうして言葉でも自由を奪っていく。これがラムゼイスのやり方なのか、それとも帝国軍の方針なのか。どちらにしろ、抵抗したところで情報を引き出されてしまうのなら、今の私ができる抵抗など無駄なのだろう。  どんな尋問をされるのか、びくびくしながらラムゼイスの様子を見ていると、何故か服を脱ぎ始めた。分厚い筋肉のついたその肉体が露わになると、何故か目が離せなくなる。下着まで全て脱ぐと、目を閉じて小声で呪文を唱え始める。王国では使われていないが、帝国では様々なことに魔術を活用している。尋問にも様々な魔術が使われるのだろう。服を脱いでいるのは、その魔術に必要なプロセスか。  ラムゼイスが自らの一物を握る。それはいつの間にか大きさを増し、天を向いていた。とても太いそれを、ぬるぬるとした液体を付けた手で上下に扱く。目の前で急に始まったその行為に、私は目を奪われていた。  ラムゼイスは見ている私のことなど意に介さず、激しく一物を扱く。最初は単調に上下に扱くだけだったが、やがて指を絡めるように動かしたり、亀頭を掌で包んでこね回すように動かすなど、違う動きを加える。 「ふううっ……」  息を荒くしたラムゼイスが左手にビーカーを持つ。それを一物に被せるようにしてから、右手の動きを単純な上下運動に戻す。それからすぐに、ビーカーの中に精液を吐き出した。量が多く、粘度が高いように思える。  自慰行為を終えたラムゼイスは手と一物を拭うと、ビーカーの中に何か薬品らしきものを混ぜていく。そしてそれを持って私に近付いてきた。飲まされるのかと思ったら、自分で飲んでしまった……いや、飲み込んではいない。そして……私に口付ける。急な出来事に抵抗する余裕もなく、口移しでそれを飲まされてしまった。吐き出したかったが、余計な抵抗はしない方がいいという言葉を思い出し、独特の臭みのあるそれを飲み込む。不快な味と喉越しだが、私は何故か興奮してしまっていた。 「ううっ……こんなものを飲ませて、どうなるんだ……」 「あなたを調べるために必要なプロセスです。これからが本番ですよ」  ラムゼイスが私の服に手を掛ける。動くことが出来ない私は、抵抗できずに丁寧に服を脱がされていく。下着まで全て脱がされると、何故か勃起してしまっていた私の一物まで露わになる。ラムゼイスはそれにちらりと視線をやるが、それ以外に特にこれといった反応は見せないのが逆に私の羞恥心を煽る。  椅子の背もたれが倒され、更に両脚を大きく開いた状態で身体を固定される。ラムゼイスは指にあのどろりとした液体を塗りつけると、私の尻穴に触れてきた。まさかとは思ったが、そのまま指を……先端だけ挿入した。 「うっ……」 「まずは中を綺麗にしましょう」  ラムゼイスがそのまま呪文を唱えると、尻の中で妙な感覚があった。帝国ではこんなことにまで魔術を活用しているのか……このようにして尻の中を洗浄しているとは。 「さあ、まずは穴をほぐしていきますよ。痛ければ言って下さい。あなたを苦しめるためにやっているわけではありませんから」 「あ、ああ……」  この状態で乱暴な扱いをされるのは、ただ痛めつけられることよりも恐ろしいことのような気がした。それよりは、恥ずかしくても従っている方がいい。もちろん、何をされても情報をぺらぺらと話すつもりはないが。  ラムゼイスの太い指がゆっくりと尻の奥へと侵入してくる。幸い今のところ気になるほどの痛みなどはないが、慣れない異物感はあまり気分の良いものではない……はずだったのだが。 「くっ、うう……」  ゆっくりと尻穴をほじくられ、慣らされていくうちに、それだけではない感覚がやってきた。かつて性処理道具として尻を使われていたあの頃にも、いつしかわずかに感じられるようになったもの。  尻をほじくられるだけで女のように快感を得てしまうなんて、自分はおかしいのかも知れないと何度悩んだことか。それが異常ではないとということを知ったのはかなりの年月が経ってからのことだった。敵対している帝国のことを調べるうち、我が国との様々な違いを知らされて……自分は、帝国に生まれた方が幸せに生きられたのではないか、などという幻想を抱いたこともあった。 「感じるのも体液を漏らすのもご自由に。こちらとしてはその方が円滑に事が運びますから」  そう言われると逆らいたくなってしまうが、だからといってこの襲ってくる快感には抵抗のしようがなかった。羞恥心から、大きな声を上げるのだけは我慢したが、いつの間にか自分の一物からは白濁した汁が漏れているのが見えた。 「では質問します。しっかり聞いて下さい。回答はしなくて結構です。あなたの名前は? はい。ヴィルヘルム・プフェルトン。本人に間違いありませんね。はいはい。聖奴の管理などを任されているプフェルトンの家に生まれるが、事情により軍人としての訓練を受けることに。はい、はい。我々が把握している情報通りですね」  ラムゼイスは私の尻をほじくりながら一人で勝手に話している。質問にも私は何も答えていないはずだが、何らかの方法で私の頭の中から情報が引き出されてしまっている。精液を飲まされたことも、今こうして尻をほじくられていることも何の意味があるのか分からなかったが、こうして私から一方的に情報を引き出すために必要なプロセスだったということか。やはり我々は、敵国の技術についてもう少し知っておく必要があったようだ。だが、もうこの状況では何の対策もできず、一方的に情報を奪われてしまう。  その後もラムゼイスは私に様々な質問をする。そのほとんどは、聞こえてはいても私の頭にはろくに入っていなかった。尻の快感が増していっているため、もうまともに考えられる状況ではなくなっていた。 「うう、ぐうう、うああっ、ああ、はあああっ!」  私は身体を何度も震わせ、ラムゼイスの声を打ち消すほどの声を上げてしまう。強い快感に、頭の中が真っ白になったような気分を味わった。気がつくと、既に尻からは指が抜かれていて、柔らかいタオルで身体を拭かれているところだった。 「必要なことは調べ終わりました。私が担当するのはここまでです。この後はあなたが今後どうなるのか、話し合って決めていただきますが……」  ラムゼイスの手が私の胸の辺りに触れる。そこには若い頃に負った傷の痕跡がしっかりと残っている。 「あの時……あなたの生死を確認しておくべきでしたね。あの時しっかり息の根を止めておけば……今になって三十年も前のことを後悔させられることになるとは思いませんでした」 「まさか……」 「ええ。あの時、母を死なせたあなたから銃を奪い、撃ったのが私です」  三十年ほど前……私は十代だった。訓練学校での成績を高く評価され、早くに卒業した私は、その頃プフェルトン家が進めていた研究……超人兵士計画を手伝うことになった。  それなりの年月を掛け、聖奴と呼ばれる身分の者の中から相応しい母体を選び、王国軍の中から優れた男を選び精子を提供させる。受精卵にも手を加え、常人よりも優れた兵士を生み出す計画だった。そして、その過程で二人の男子が生まれた。超人と言える程のものてばなかったが、育てばそれなりに優れた兵士となる……予定だったが、そう簡単にはいかなかった。我が子が幼いうちから様々な実験や訓練を受けさせられるのを見て、母親が子供を連れて逃げだそうとしたのだ。  母親の逃走ルートを推測して先回りした私は、一人で母子三人と相対することになった。もちろん、まだ幼い二人の子供に戦闘力があるとは思えなかったし、聖奴である母親も戦闘用に育てられた者ではなかった。しかし、子供を守るために母親が何をしでかすか分からなかったため、先手を打って威嚇射撃をした。  相手が余計な動きをしなければ当たるはずはなかった。しかし母親は子供を守るため、自らその銃弾に当たりに行くように動いてしまった。その結果、母親は瀕死の重傷、逆上した子供の一人が私の銃を奪って発砲。私も重傷を負って倒れ、子供二人は母親の言葉に従って逃げていった。  私は命に別状はなかったが、子供達の母親はそのまま死んでしまった。私は責任をとるような形で聖奴の管理から外され、軍人となるために改めて訓練学校に通い直すことになり、年月を経て元帥にまで上り詰めたのだが……今はこうして、敵国に捕まってしまっている。 「私個人の気持ちとしては、ここであなたを殺してしまいたいほどです。ガルヴェイス陛下やアシュレム殿下を何度も危険に晒したことは許せることではありません」 「ううっ……」  確かに、私はこの帝国に対して何度も工作員を送り込み、様々な命令を出していた。その中には、皇族を含む重要人物の暗殺も含まれていた。成功はしなかったようだが。  ラムゼイスの右手が私の首を掴む。今はまだ力を込めていないが、その気になれば一瞬で握りつぶされ、殺されてしまう。身体が動く状態だったとしても、この男には全く敵わないだろう。抵抗するだけ無意味だ。 「そんなに怯えないで下さい。殺したりはしませんよ。ここであなたを殺すことは容易いですが、考えなしにそれをすることは帝国にとっての不利益に繋がってしまいますから」  やはり、皇帝の側近として信頼されている男は理性的だ。とりあえずすぐに殺されることだけはなさそうだ。しかしこれは同時に、私に価値がなくなればこの男に殺されてしまう、ということだ。生きていたければ、私は自身の利用価値があるように思わせなければならないようだ。 「どうだ。そろそろ調べ終わったか?」  ラムゼイスの手が離れた直後、そんな言葉と共にまた別の男が入ってきた。こちらは深緑色の軍服姿で、巨体のラムゼイスよりは少しだけ小さいが、とても身体が大きく逞しい。顔を見れば、それが誰なのかはすぐに分かった。 「はい、陛下。必要な情報は一通り引き出しました」  ガルヴェイス・カイルザード。ガーライル帝国の皇帝。我々王国人にとっては最大の敵だ。ガルヴェイスは私から引き出された情報がまとめられた資料を受け取り、軽く目を通していく。そこにどんなことが書かれているのか、私のいる位置からは読むことができない。恐らく、王国軍としては決して敵国に知られてはいけない情報が大いに含まれていることだろう。これで、例え無事に戻ることができたとしても、王国軍に私の居場所はない。 「ふむ……ああ、そうだ。ラム、アッシュがお前を捜してたぞ。しばらく相手してやってくれ」  アッシュ……ガルヴェイスの一人息子、アシュレムのことか。アシュレムにも様々な工作員を差し向けたが、余程強力な護衛でもいるのか成果を出した者はおらず、アシュレム個人に関する情報などは全くと言っていいほど手に入っていない。 「分かりました。では、あとはお任せします」  アシュレムに比べれば私のことなどどうでもいいのか、私に向けられていた威圧感が一気になくなる。ラムゼイスは一礼して部屋を出ていき、後には私とガルヴェイスだけが残される。 「プフェルトン……これからお前がどうなるのかはお前次第だ。お前はどうしたい? どうなって欲しい?」 「どう……とは?」 「生きていきたいか、死んでもいいのか。王国に戻りたいのか、そうでもないのか。それと……王国を、裏切ることが出来るのか、出来ないのか。答えろ」  その問いは、この部屋で目が覚めてからずっと悩んでいたことだった。私はそもそもそこまでの強い愛国心があるわけではない。王国が自分にとって居心地の良い国ではないからだ。しかし、生まれ故郷であることは変えられない事実であり、故郷を大切にしたいという気持ちはもちろんある。そもそも私は、故郷をもっと暮らしやすい国にするためにここまで上り詰めたはずだ。それなのに、何故こうなってしまったのか…… 「……分からない。王国のために死ぬことも、王国を裏切って生きることも、私にはできない。私は自分自身がどうしたいのか、分からない……」 「そうか。じゃあ……もう少し、自分に素直になってみるか?」 「素直に……自分のことが分からないのに、どう素直になれと?」 「お前は自覚してなくても、こっちには書いてあるんだよ。ちょっと待ってろ」  ガルヴェイスはラムゼイスのまとめた資料を掲げてみせてから、部屋を出て行く。それにはどこまでの情報が書かれているのか。私の知らない私自身のことまで、あのラムゼイスの行為によって調べられてしまったのか。  しばらくして、ガルヴェイスが戻ってくる。誰かを連れてきたようだ。一人は筋肉質でやや悪人顔の男。もう一人は……あの時、王国に侵入してきていた逞しい帝国兵、リックハルトだった。 「リックハルト、さっき言った通りにな。任せたぞ」 「はい。ではじっくり観させていただきます」  リックハルトはこちらにやってきて、私の身体を持ち上げると自分が椅子に腰を下ろした。そして、私をその上に座らせ、後ろから抱き締めるように腕を回してくる。何がしたいのだろうか。 「じゃあ……ゴング、さっさと始めるか。準備はしてきたよな?」 「呼ばれたときはいつ突っ込まれてもいいように準備してあります」 「流石だな。よし、じゃあ脱げっ!」 「はいっ!」  ゴングと呼ばれた悪人顔が、着ていたタンクトップとハーフパンツを脱ぐ。前だけを覆うスポーツ用のサポーターだけの姿になると、ガルヴェイスの前にひざまずく。 「おい、プフェルトン。しっかり見てろよ」  ガルヴェイスは自分のズボンの前を開け、下着から一物を引っ張り出す。だらりと垂れ下がった状態でもそれなりの大きさがあるように思える。それに、ゴングが顔を近付け、先端から口に含む。その中でどのように刺激しているのか、ガルヴェイスの一物はむくむくと大きさを増していき、喉を突かれたゴングが咳き込む。 「げほっ……うはあ、ああ、陛下のチンポ、ああ……」  ゴングは一旦口から出した一物をうっとりとした表情で見つめてから、今度はすぐには口に含まず舌で丁寧に舐めていく。 「どうです? 彼の口はなかなかのものですよ。一度体験してみますか? それとも……あなたも、彼のように奉仕をしたい方の人間ですか?」  私を後ろから抱きかかえているリックハルトに、耳元でそんなことを囁かれる。自分の心を見透かされているような言葉に鼓動が早くなる。尻に当たる布越しの一物らしき感触が気になって仕方がない。  見ているうちに、ゴングはガルヴェイスの一物を再び口に含んだ。今度はそのまま頭を前後に動かして刺激する。ガルヴェイスはしばらくゴングの頭をぐしゃぐしゃと撫でていたが、責めが激しくなるとそれに合わせて、ゴングの頭を掴んで自分から腰を動かすようになる。苦しそうだが、ゴングはサポーターの前を大きく盛り上げ、先走りまで漏らしているようだった。 「あー、たまんねえぞ、ゴング! 今日はまず一発、お前の口の中に出してやるか。どうだ?」 「おごおおっ、ごほっ、おお、ああ、はあ……陛下の、ザーメン……飲ませて欲しいですっ!」 「よしっ。じゃあ出すぞっ。ゴング、おおおっ!」  ガルヴェイスはゴングの頭をぐっと押さえつけ、身体を何度も震わせる。余程気持ちが良いのか、快感に少し顔を歪ませ、身体を仰け反らせている。出し切ったらしいガルヴェイスが手を離しても、ゴングは口を離そうとはしない。音を立てて一物にしつこく吸い付き、ガルヴェイスを悶えさせている。 「ああ、お前はっ、本当に……うおおっ、チンポがっ、好きだなっ! あんまりしつこくすると、ケツ掘ってやれなくなるぞっ!」  その言葉で、やっとゴングは口を離した。どちらも口だけでは満足できないようだ。ゴングは空いていたベッドに上がり、四つん這いになる。そこに、同じくベッドに上がったガルヴェイスが近付いて、剥き出しの尻に顔を埋める。湿った音を立てて尻穴に吸い付き、舌で舐めている。 「くううっ……」  ゴングはあの悪人顔を情けなく歪ませて身をよじる。尻を舐められただけで、こんなにも反応するもなのか…… 「陛下ぁ、もう、舌だけじゃ……満足できませんっ……」 「んんっ、しょうがねえなあ」  ガルヴェイスは口を離すと、ベッドサイドに置かれていたボトルに手を伸ばす。その中身……どろりとした透明の液体を手に垂らすと、ゴングの尻穴に塗りつける。自分の指にも塗り広げてから、ぬるぬるになった尻穴にねじ込んでいく。 「ああああっ……そこ、ああ、陛下っ、ああああっ!」  尻の中でどのような動きをしているのか、ゴングはどこか色っぽさを感じる野太い声を上げて身をくねらせている。太い指を二本、三本と増やされてもその顔に苦痛の色は見えない。 「陛下ぁぁっ! ああ、早く、陛下のチンポで……」 「よしっ。じゃあ今日はたっぷり掘ってやるぞっ。覚悟しとけ」  ガルヴェイスは指を引き抜くと、自分の一物にどろりとした液体を塗りつける。そしてゴングの尻穴にあてがうと、一気に押し込んだ。 「うがあああっ!」  ゴングが今日一番の声を上げる。サポーターが吸いきれなくなった汁がぽたりと垂れる。ガルヴェイスは布越しにゴングの股間を揉みしだきながら、ゴングに腰を打ち付けていく。 「どうです? 彼のような快感を体験してみたくなりませんか? 私も一物には自信があるのですよ。一度味わってしまうと皆が虜になるこの一物……味わってみませんか?」  私を抱きかかえているリックハルトは、下から股間を押しつけながら私の耳に甘い言葉を囁く。いつの間にか私は肉体の拘束を解かれていて、その気になればこの異常な状況から逃げ出すことも出来たはずなのに…… 「どうです。私の一物は大きいでしょう」  何故か私は、ズボンから引っ張り出されたリックハルトの一物にしゃぶりついていた。こんな事を自分からしてしまったのは初めてだった。私は自分が男同士の性行為を見て興奮していたことを認めなければならない。  全てを口に含むことなど出来ない大きな一物を夢中で味わう。かつての嫌な記憶を押しのけ、今の興奮が頭の中を支配する。どのようにされたら気持ちいいのかを想像しながら、一物に舌を絡ませる。しかしやはり、ゴングの技術にはまるで敵わないようで、リックハルトが感じているのかもよく分からない。 「ここまで来たのならば、あなたの尻穴を使わせていただきたいですね。経験はあるのでしょう?」 「ううっ……」  先程ラムゼイスの指で感じさせられたことを思い出す。しかし今度は目の前にあるこの巨大な一物だ。こんなものが自分の尻穴に入るとは思えない……が。 「少し広げましょう。大丈夫です。終わったら解除しますから」  そう言うと、リックハルトは私の尻穴に指をねじ込みつつ呪文を唱える。そして、指を引き抜くとすぐに一物を突き入れてきた。やはり魔術の効果なのか、あの並外れた巨根が尻に入っているのに、痛みもきつさも気にならない。それどころか、尻の奥をえぐられるのはたまらなく気持ちが良かった。いつしか自分から尻を押しつけ、最終的には絨毯の上に寝転がったリックハルトに自分から跨り、浅ましく腰を振ってしまっていた。 「ああ、気持ちがいいですよ。あなたの尻はとても具合が良い。先にあなたの中に射精してしまってもよろしいですか?」 「うううっ、もう少し……」  そんな私の言葉が届いているのかいないのか。リックハルトは下から激しく腰を打ち付けつつ、私の一物を激しく扱く。目の前ではガルヴェイスとゴングの行為がまだ続いていて…… 「また出るぞっ。今度はお前に顔にたっぷりぶっかけてやる! そらっ!」  ガルヴェイスの何度目かの射精はゴングの顔に撒き散らされた。それを見て興奮してしまった私は、跨っているリックハルトの身体に精液を撒き散らす。 「ああ、私も出ますっ……ああ、はああ……」  私の射精を観察しながら、リックハルトも私の中に射精したようだ。何故だか、それはとても幸せなことのように感じた。しかし、今の私はそれを気軽に味わってはいけない気がした。  後始末をして、リックハルトとゴングが出て行ってから、改めてガルヴェイスが同じ質問をしてきた。 「プフェルトン。お前はこれからどうしたい?」 「私は……王国に戻りたいです。戻って、責任を取らなければなりません」 「そうか……」  私は王国軍を私物化してしまったことの責任を取らなければならない。帝国を乗っ取ろうと画策し、何人もの工作員を送り込んだのは私自身の欲望を叶えるためだったのだ。今日、それに気付かされた。出来るはずのないことのために、どれだけのものを犠牲にしたことか。 「それは、辛い選択かも知れないぞ。お前の好きな、リックハルトとももう会えなくなるだろう」 「はあ……これが、恋というものだったんですね……」  あの時、リックハルトの写真を見て感じた衝撃。あれは一目惚れというものだったのだろう。男同士の恋愛感情など、王国人にとっては存在しないはずのものだったから、分からなかったのだ。初恋はなかなか実らぬものと聞くが、私の初恋らしきものも、どうやらそうであるらしい。  さようなら、私の恋。もう会うことはないだろう……  拉致したヴィルヘルムを再び王都にこっそり返却し、こちらの工作員のレベルの高さをアピールすることができた。実際、元帥派は帝国に暗殺などを目的とした工作員を送り込むのを完全にやめたようだ。しばらくは大人しくしていてくれるだろう。  元帥だったヴィルヘルムは王国軍を辞めてしまったらしい。機密を漏らさないように精神錠をかけられた状態で、王国でも帝国でもない遠い国に追放されたと聞く。もう会うことはないだろう。私としては、好意を持ってくれているようだし、愛人の一人としては悪くないと思ったのだが残念だ。魔術のサポートはあったにせよ、身体の相性は悪くなかったのだ。ううむ、実に残念だ……よし、それならばっ。 「というわけですので。私、彼を愛人としてこっそり囲う決意をしましたので、捜しに行きたいと思います。つきましては、しばらくの間休暇を申請したく……」 「そんな理由での長期休暇は許可できません。手近な相手で我慢して下さい」  むう、ラムゼイスはケチだ。私などしばらくいなくなったところで大して困らないというのに。。 「では手近な相手としてラムゼイス、お前を私の愛人の一人として……」 「残念ですが、私の全てはカイルザード家のものですから。そのような話をお受けすることはできません」 「仕方ないっ。では陛下を私の愛人にしようっ! 陛下ならば私との身体の相性も抜群だっ!」 「馬鹿なことを言っていないで仕事をして下さい。あなたが短期間に二度も任務に出たせいで、色々仕事が滞っているんです」  むう。そうだったか。では仕方ない……今日のところは諦めよう。 「まあ、あなたは今回、充分な働きをしていただきましたから。少しぐらいは私個人からも報酬をお支払いしましょう」 「ほう。それではやはり、お前が私の相手をしてくれるのだなっ」 「いえ、今回はその程度では釣り合いませんから……私のポケットマネーで雇っている人員に、ヴィルヘルム・プフェルトンの居場所を捜させましょう。ただし、見つけても帝都には連れてこないように」 「おおっ! それはありがたいっ! 頼むぞっ。では私はこれでっ。溜まっている仕事があるので!」  いつになるか分からないが、ラムゼイスは彼を見つけてくれるだろう。そして、その時は任務や立場など関係なく、対等な関係として思い切りセックスをするぞっ。