本当はこんな仕事を受けたくはなかった。だが、金は必要だった。  ちょっとしたことに金をつぎ込みすぎて、そこそこの借金をしてしまった。それ自体はまあ、いつものことなんだが……今回は少し金額が大きかったのと、タイミングがあまり良くなかったらしい。今回金を貸してくれた知人が、急に金が必要になったと言いだしたのだ。少し待ってくれれば借金した分を補填して余りある金額を稼いでこられるのだが、残念ながら待っていられないようだ。  もちろん手元にそんな金が残っていない俺は、知人のつてを頼ってすぐにそこそこの金額が稼げる怪しげな仕事を紹介してもらえることになった。闘技場で戦う、剣闘士の真似事だって聞いたから二つ返事で受けたのがまずかった。詳細を確かめてから受けるべきだったな。  ただ戦うだけなら何の問題もなかった。相手がどんな奴だろうとそれなりに見られる戦いをしてみせる自信はあったからな。相手が女戦士だったのは別にいいんだ。だが、相手を倒してセックスする試合だなんて、思ってもみなかった。どうして俺が女とセックスしなきゃならないんだよ。  屈強な男のケツになら喜んでぶちこんでやるんだが、女相手には勃起を維持するのも一苦労だ。今からでも相手を男に替えてくれねえかなあ。でも、観客は女がやられるのを見たい客ばかりだろうから、そうはいかないんだろう。そもそも俺がよく確認しないで引き受けたのが悪いんだしな。なんとかして勃たせるしかないんだろう。方法はなくもないが……  と言うわけで腹をくくって試合のための準備をしていると、観客の騒ぐ声が聞こえてきた。どうやら前の奴の試合が始まったらしい。少し様子を見てみたいが、この控室には窓がなく、壁一枚向こうで行われている戦いの様子をみることはできないようだ。しかし……控室は閉鎖された空間ってわけじゃない。のぞき見る方法がないわけじゃない……よし。  円形闘技場で二人が向き合っている。一人はヒゲ面の男。筋肉たっぷり脂肪もそれなりの肉厚な体型は横幅も厚みもある。薄いカーテンを巻き付けたかのような簡素な服を着ているが、これはおそらく運営側から支給された服だろう。それ以外に身につけているのは腰帯とサンダルのような靴。それと武器だけだ。  手にしている武器は……鎖だった。あれで戦うつもりのようだ。先端におもりはついているが、武器としてはどうなんだろうか……よく見ると使いにくそうな短い刃物も持っているが、ここの闘技場では殺傷能力の高い武器はそのまま使わせてもらえないようなので、これも使い物になるかものかどうか怪しい。  もう一人は……女だ。身体はやや筋肉質だが、美女ではある……と思う。下着のような形そのままのような鎧を着けていて、短めの剣と丸盾を持っている。こうして見たところで、残念ながら全くその気にはなれない。いくら逞しくても女は女だな。男の方だったらいくらでも可愛がってやるんだが。  男が鎖を投げ放つ。先端のおもりが女に向かっていくが、それは盾で弾かれる。鎖はすぐに引き戻され、再び放たれる。しかしまた防がれて……というのを何度か繰り返した後、男は鎖の投げ方を変える。鎖自体に特別な仕掛けがあるようで、今まで真っ直ぐ伸びていただけの鎖が今度はくねりながら女に向かっていく。意表を突かれた女はそれを防ぐことが出来ず、鎖は盾に巻き付く。そしてまた引き戻され、女は盾を奪われる。  男は盾を放り捨ててから、再び鎖を放つ。女はそれを避けようとするが、鎖は更に複雑な動きをして女に絡みつく。男は勝利を確信したのか女にゆっくり近付いていき……その途中で女の身に変化が起こった。  女……いや、女だったはずのそれは一時的に不定形の何かに変化し、身につけていた鎧、手にしていた剣、巻き付いていた鎖が下に落ちる。そして不定形の何かはすぐにまた別のものに変化した。その様子に男は驚愕し、口をあんぐりと開けた。 「おいっ、聞いてないぞ! 女じゃなかったのかよ!」  女だったはずのそれは、男の姿に変わっていた。しかも、相対している鎖の男と同じ顔と体格だ。違うのは服などを身につけていないことぐらいか。さっきまで自分に巻き付いていた鎖を引っ張り、今度は逆に男を引き寄せる。同じ体格でも、不定形の方が力が強いのかも知れない。  男が不定形男の足元に転がされる。男の服が乱れると、下着の類を何も身につけていないことが分かる。なかなかの大きさのものがぶらぶらと揺れているような状態では戦いにくかっただろうが、それが運営から指定された恰好では仕方がない。そこにばかり目を奪われている間に、男の身体には鎖が巻き付いていた。自力で解くことはできるだろうが、すぐには身動きが取れないだろう。 「うぐううっ……」  不定形男の姿が再び変化する。今度は人の姿などにはならず、不定形のままだ。こいつは流動体の生物だな。他の場所でも見かけないこともない。赤みがかった紫色の、透き通ったそれが男の身体に絡みつく。網や縄のように形を変えて、男を拘束する。そこから流動体の攻撃が始まる。 「くっ……うあああ……」  流動体はあちこちから手や指のように細く長くなったものを伸ばし、男の身体をまさぐっていく。よく見るとその先端は不透明になっている部分もあり、透明のままの部分よりしっかりと形を保っている。それが服に隠された部分も、そうでない部分も刺激する。くすぐったいのか、快感なのか、男は耐えるような表情で身をよじる。  いつの間にかも男の服は流動体に消化でもされてしまったのかぼろぼろになっていた。流動体から伸びた先端は男の弱い場所を重点的に責めている。耳や首筋、乳首や脇腹などはもちろん、勃ち上がったチンポにもからみつき、尿道や肛門にも侵入させているようだ。男は身動きも取れず全身の性感帯を責められ続け、耐えきれずに声を大きく上げる。 「うああっ、駄目だ、出ちまうっ! あああっ!」  尿道に侵入していた流動体が抜け出ると、その直後に白濁した汁が大きく噴き上がる。男自身の身体に降り注いだその精液は、全身をまさぐる流動体によって吸い尽くされる。射精直後の敏感なチンポをしつこく刺激され、男は声を上げて暴れるが拘束が解けることはない。  ふむ。どうやらこれがこの戦いの本当の目的のようだ。女と戦って倒し、相手を犯す試合だという名目で性欲の強そうな男を集め、女のふりをした流動体に襲わせて男が快感に悶える姿を見て楽しむ。負けても充分な報酬がもらえるのはそういうわけだな。  俺もこうして楽しんで見てしまっているし、男が責められて悶える姿を見たがるのが悪いとは言わないが……こんな風に騙すようなやり方は気に入らないよな。今から対策を考えておくか……  流動体による責めはまだ続く。今度は再び目の前の男と同じ姿に変化した。今度は見かけ上は同じ人間の男同士の行為を見せるつもりのようだ。同じ姿であればどうやら流動体の方が力が強いようなので、仰向けに倒れている男を押さえつけ、上から跨ると男のチンポを自分の尻に導いた。まだ勃ち上がったままの男のチンポが流動体の尻穴に呑み込まれる。 「おおっ……」  その感触が普通の人間の男のものと違うのかどうかわからないが、男が再び快感に顔を歪める。最初は流動体の方が男の身体を押さえつけて激しく腰を動かしていたが、途中から男の方が流動体の腰をしっかりと掴み、下から突き上げるようになっていた。すると、少しずつ流動体の様子が変わってくる。  男の姿をした流動体は外見を模倣しただけかと思っていたが、それだけではないようだ。人間の身体を中身まである程度再現しているのか、無表情だった流動体が今度は顔を歪ませていく。押さえつける力も弱まっているのか、男が身体を起こして流動体の尻を激しく掘る形に。最初はだらりと垂れ下がったままだった流動体のチンポは、今ではしっかり勃ち上がっていた。もしかして、感じているのだろうか。  そんな状況になっても観客は変わらず歓声を上げているし、運営側が止めたり邪魔をしたりすることもない。どうやらこれも想定された事態のようだ。流動体で男の肉体を再現することで、どちらが責めていようと責められていようと、男が苦痛や快感に悶える姿は見ることができる。よくできてるな。 「はあ、ああ、気持ちいいぞっ、お前のケツっ……俺のケツ? ああ、どっちでもいいや。たまんねえっ!」 「ううっ、ぐあああっ……」  二人(?)の行為は完全に攻守逆転していて、男が流動体を後ろから押さえつけて尻を犯す形になっている。流動体はついに声まで上げて快感に耐えている。やがて男に限界が近付き…… 「ああ、そろそろ出そうだっ。いいか? いいよな。あああっ……」  射精が近付いた男が腰の動きを激しくする。しかし男が射精する前に流動体が身体を大きく仰け反らせる。その身体を何度も震わせて……形を崩してしまった。どうやら流動体がその形状を保っていられなくなってしまったようだ。水溜まりのように地面に広がった流動体の上に、体勢を崩した男が突っ伏す。射精し損ねてしまったらしいチンポは刺激を求めてびくびくと脈動している。  男は戸惑いながら、なんとなく拳を掲げる。これ、流動体に勝ったってことなのか。でも、最初に提示された試合の目標は相手を倒してセックス、そして相手の中に射精する、だったから、それは達成していない事になる。この場合、報酬はどうなるのだろうか。そもそも負けても結構な金額がもらえる事になっているが……今の俺にはその差は大きいぞ。  俺が悩んでいる間に、男は観客からの大きな歓声を受け、手を振りつつ勃ち上がったままのチンポを揺らしながら立ち去っていった。次は俺の番か……  目の前には筋肉質な女が立っている。先程あの男と戦っていた時と同じ姿だ。俺は控室にいて、そこからはさっきの試合を見ることができないので、目の前の女の正体があの流動体生物であるということは知らない……ということになっているのだろう。だが実際にはもう知ってしまっている。さっきの男よりはうまくやれるだろう。  俺は運営から渡された衣装……毛皮の腰巻きと薄っぺらい生地の褌、革製のベルトとブーツを身につけている。手にしている武器は一メートル弱の剣と丸い盾。見た目は目の前の女が持っているものとそうは変わらない。だがこれは俺が持参したもので、初めから刃物としてはまともに使えないナマクラだ。何の問題もなくこうして持ち込むことができた。  さて、戦いを始めようか。一応、最初は人間の女剣闘士が相手だと俺に思わせるためにも人間の姿のまま戦おうとするだろう。まずは相手の力量を探るために、向こうから責めさせよう。剣を手で弄びながら、手招きなどして相手を誘う。  挑発に乗ったわけではないだろうが、女が向かってくる。剣を振りかぶり、斬りかかってきた。それを剣で受け止めていなす。この一撃で、流動体生物は女の姿をしていてもかなりの力を持っていることがよく分かった。しかし、技術はさほどでもない。高い身体能力に頼った、野生の獣のような戦い方だ。このまま防ぎ続ける自信はあるが、それをこちらの体力が尽きるまで続けるわけにもいかない。  再び斬りかかってきた女の剣をかわし、その手をナマクラの剣で叩いて剣を落とさせる。女が拾おうとする前に、その剣は遠くへ蹴飛ばしてやる。さて、これでそろそろ……来るんじゃないか?  すぐに剣を回収することは諦めた女が距離を取る。そしてついに、その姿が変化する。流動体生物本来の姿を一瞬見せてから、男の姿に変化する。筋骨隆々の逞しい男だ。変化の途中で身につけていた鎧は下に落ちてしまっているため、だらりと垂れ下がった大きなチンポを晒し、そのそれなりに男前な顔をこちらに向ける。見事に俺と同じ姿に変わっている……が、鏡で見る自分の顔とはどこか違って見える。やはりまだ表情が足りないからか。  男が下に落ちた盾を拾って構え、こちらに突進してくる。あの女の姿であれだけの力を持っていたのだから、俺の姿を借りている今の状態の攻撃はまともに受けていられないだろう。受け止めようとはせず、脚を引っかけて転ばせる。  さて、相手が普通の人間ではなく、流動体生物であることは分かっている。それを倒すには、普通に武器を振るうだけでは駄目だ。種類にもよるが、火などを使えば殺せる事が多い。こいつは動きもさほど速くないし、消化液や毒などが強力なものでもなさそうなので、殺すだけなら苦労はしないだろう。  だがこの戦いはこの流動体を殺すことが目的ではない。この流動体はこういった役目を負わされているだけであって、こいつに罪はないのだ。必要なのは、負けを認めさせること。そして、こっちが無事に相手の中に射精すること。そのためには……  俺は盾を構える。呪文を唱えると、丸盾に仕込まれた簡易魔法円が光を放つ。更に呪文を唱えて魔術を発動させると、俺の姿をした流動体男が光に包まれる。すぐに立ち上がって逃げようとした流動体男は、身体に力が入りにくいようですぐに転んでしまった。流動体の姿に戻ろうともしているようだが、それもできないでいる。  こういう流動体生物はやっぱりこれだな。いつも簡単にやっているはずの変形・変身が出来なくなると、急に弱気になるんだ。ここから後は簡単だ。本来の姿に戻ることを禁止された流動体男を、俺がたっぷり可愛がってやるのだ。  這って逃げようとする流動体男を、後ろから押さえ込む。この戦いの勝利条件は倒した相手とセックスして中に出すこと、ってことになっている。男では駄目だとは制限されてないから、こいつの尻に俺のチンポをぶち込んで一発出してやれば俺の勝ちだ。では早速……といきたいところなんだが……尻穴に触れてみると、そう簡単にはいかないようだ。  俺の身体を模倣して再現してるのなら、すぐに俺のチンポを突っ込むのは難しいだろう。俺は挿れる方が専門で、挿れられる方はそんなに得意じゃないんだ。経験がないわけじゃないし、セックス以外でも色々と必要に駆られて使うことはあるからな。だが、俺のチンポはそこそこの大きさがあるから、俺の尻でいきなり受け入れるのはちょっとな。  と言うわけで、流動体男の尻をほぐしてやらなければならない。俺の剣を手にして、柄をきゅぽっと外すと中には色々なものが詰め込まれている。そう。実はこの剣、柄の形をした小物入れに刀身のようなものを着けただけだったりする。小物入れの中には色々入ってるが、今必要なのはこれだ。俺特製・アナルセックス用潤滑油。  ボトルに入った潤滑油を手に垂らし、その滑りを借りて尻穴に指をねじ込んでいく。俺の身体と同じだったら、尻が感じないってことはないはずだ。俺は挿れる方が好きなだけで、感じないわけじゃないんだ。中を弄ってやると、案の流動体男の様子が変わってくる。暴れたりはしなくなって、代わりに身体をよじり、くねらせるようになった。やっぱり、俺と同じところが感じるみたいだな。  しばらく指で尻穴を掻き回し、ほぐして広げる。段階を踏んで指を増やしていくと、何とか俺のチンポが入りそうなぐらいにはほぐれてきた。そろそろ大丈夫だろう。  俺は腰のベルトを外し、毛皮の腰巻きを脱ぎ捨てる。それから汗で透ける薄っぺらい生地の褌を外し、見ているであろう観客達に見せつけながら勃ち上がったチンポに潤滑油を塗りたくる。歓声が上がると悪い気分はしない。流動体男の尻にも潤滑油を足してから、俺のチンポをそこに触れさせる。少しずつ中にねじ込んでいくと、充分にほぐれ、適度に力が抜けている尻穴が俺のチンポを呑み込んでいく。躊躇わずに一気に押し込むと、流動体男が身体を仰け反らせる。 「んぐううっ!」  その声は苦痛によるものではないと判断し、俺のチンポでケツの奥をえぐり、ゆっくり掻き回していく。同時に前に手を回し、流動体男の股間に触れてみると、もう既にぬるりとした液体をたっぷり漏らしていた。それを塗り広げながらチンポを弄ってやる。この太さ、硬さ、反り具合や亀頭の形。握った感じはまさに俺のチンポと同じものだ。  チンポだって自分でどこをどうすれば気持ちいいのかは分かっている。俺のチンポを抜き差ししながら、流動体男のチンポを激しく扱いてやる。亀頭に指を絡めてこねくり回すと、その刺激から逃れようとするかのように身をよじり、暴れる。想定された試合の展開とは違うだろうが、観客からは俺が尻を掘られ、チンポを弄られて声を上げて悶える姿は見ることができているので問題ないだろう。  しばらく前後を同時に責めてやっていたが、これ以上続けるとすぐに射精してしまいそうだったのでチンポを弄るのはやめてやる。代わりに後ろから羽交い締めにして身体を起こしてやり、乳首やら脇腹やらあちこちを弄りまわしてやる。もちろん下から尻を突き上げるのは忘れない。 「うああ、ああ、あがあああっ、あああああっ!」  途中で止めたところで限界だったのは変わらなかったようで、流動体男がチンポから液体を勢いよく噴き上げる。ザーメン……に、流動体の一部が混ざったようなものだろうか。よく見ると普通のザーメンより少し紫色っぽい。この流動体の本来の色が混ざってる感じだな。このままザーメンを出し過ぎたら流動体の身体は縮んでしまうんじゃないだろうか。  だが、ここまできて途中で止める気はない。流動体男の方もそのつもりのようで、時折身体をびくびくと震わせながら、自分からも腰を動かし始める。俺も自分が射精するために、チンポを激しく抜き差しする。続けているうちに流動体男の尻穴の具合が良くなってくる。俺のチンポに充分馴染んできたようで、俺のチンポに絡みつき、適度に締め付けてくる。そろそろ俺も限界が近付いてきた。 「よしっ。お前の中に出すぞっ。いいなっ! あああっ!」  チンポを根本まで突き挿れて、尻の奥に射精する。結構な量が出たんじゃないかと思う。全て出し切ってからチンポを引き抜いても、奥深くに出したザーメンがすぐに垂れてくることはなかった。これで目標を達成したことになる……よな?  ぐったりした流動体男の頭を軽く撫でてやる。こいつは俺の姿に変身した状態に無理矢理固定されていたが、掛けた魔術を解除すると途端に流動体の姿に戻った。意識して戻ったと言うより、変身を維持できなくなった、という感じだろう。  もう一発ぐらい出していきたかったが、流動体は俺を責める元気もないようだ。案外打たれ弱いなあ。俺もさっきの男のように、流動体にまとわりつかれて射精もしたかったのにな。残念だ。  試合の勝者として俺の名前がコールされる。よし、これで安心して帰れるな。半裸の闘技場スタッフが流動体を回収していく様子を見ながら、俺はその場を後にした。  自分の試合が終わった後は他の奴の試合を観ていってもいいということだったが、そこまでの興味はなかった。報酬を貰って、そのうちの大半を借金取りに持って行かれて。残った金でとりあえずうまい飯でも……などと考えながら闘技場の近くの簡易宿泊所に戻る。  参加者は大体ここの宿泊所を利用するという。さほどうまくはないが一応食事が出るし、身体を洗える浴場もある。そして何よりも利用料金が安く、試合が終わってからの後払いで構わないのがいい。大部屋で雑魚寝なら料金は更に安くなるが、俺は荷物が多いので個室を取っていた。  余計な荷物を部屋に置いて、食事の前にまずは身体を洗おうと大浴場へ。簡単に汗を流してから、石造り風の大きな浴槽に浸かる。家に帰れば抱えている本業の仕事が残っているが、今はあまり考えたくない。流動体生物に対して複雑な魔術を仕掛け、それを維持しながらセックスをするのはなかなかに大変だった。  さっき闘技場で一発出したばかりだが……今度は余計なことを何も考えなくてもいい普通のセックスをしてスッキリしたい。誰か適当な男を誘ってしまおうか。例えばこの、すぐ隣で湯に浸かってるヒゲ面の……どこかで見た顔の男に声を掛けようか。たっぷりの筋肉とそこそこの脂肪があって、横幅も厚みもある体型はなかなかいいな……なんて思ってたら、ヒゲ面がこちらを向いた。 「ん、どうした……ああ、兄ちゃんさっき闘技場で戦ってたな。俺、観てたんだよ。俺も出てたんだけどよ、全然駄目でなあ」  にかっと笑ってそんなことを言う。ああ、そうか。この男は俺の前に試合をしていた鎖使いの男だな。 「あれに負けるのは仕方ない。相手が本当はああいった流動体生物であることを隠していたからな。ああいうのは何の準備もなければどうにもならない。殴ったって効かないし、刃物で切ったってまたくっつくからな」 「兄ちゃんみたいに強力な魔導具でも持ってこないと駄目か」 「俺のあの盾はそんな強力なものじゃあないぞ。魔術の手順を少し減らしたりとかができる程度だ。本人が魔術師じゃなければただの盾だな。無駄に高価なだけの」  魔法銀に浮遊金や不変銅など、特別な金属を使った合金で作った、俺の特別製。あんなものを作ったせいで一時的にかなりの借金を抱えることになってしまった。それだけの価値は……あるようなないような。 「それよりはそっちの使ってた鎖の方が便利だろうな」 「お、よく分かったな。俺の鎖が魔導具だって。俺みたいに魔術師じゃない奴が使ってもちゃんと動いてくれるし、なかなか良くできてるぜ。結構高かったが、それだけの価値はあったな」  男はあの鎖の使い勝手に満足しているようだ。 「あれは魔術師じゃない奴向けに調整したやつだからな。使用者から無理矢理魔力を捻出させつつ、疑似神経を構築して意識するだけで動かせるようにしてるんだ」 「あれ、随分詳しいなあ。見ただけで分かるのか」 「まあな。作った本人が知らなくてどうするんだよ」 「へえ……えええっ? 兄ちゃんが、あれを、作ったのか?」  やはりそこまでは分からなかったようだ。直接会って依頼されたわけじゃないから、俺だって会うのは今日が初めてだ。こんな奴が依頼してるって分かってたら……ちょっとぐらい割引してやっても良かったんだがな。もちろん、その分身体で支払って貰うことになるが。 「俺は本当は工房に籠もって研究したり魔導具作ったりするのが本業なんだよ。外に出て怪物と戦ったりするのは、必要だから仕方なくやってることだ。本当は食事とセックス以外では外に出たくないぐらいなんだぜ」  しかし現実は非情で、魔導具の材料のためにあっちこっち冒険したり、怪物と戦ったりする羽目になり、必要に駆られて身体を鍛えたりしていたら……いつの間にかこんな筋骨隆々になっていた。ますます魔術師だと思ってもらえなくなるな。身体目当ての男にモテるのは良いんだが、見た目で本業の信頼度が下がるのは困る。 「そうなのか……あれ、ところで兄ちゃん、俺の試合観てたのか? 自分の試合が終わるまでは他の試合観られなかったよな?」 「そこはほら、俺は魔術師だからな。こっそり観る方法は色々あるんだ。あんたがアレと戦ってるところから、二発目を出し損ねたところまでしっかり観てたぜ」 「わはは。情けないところばっかり見られて少し恥ずかしいなあ」  男が豪快に笑う。言葉のわりには堂々とした態度で、あまり恥ずかしそうに見えない。 「もっと恥ずかしいところを見せてくれて構わないぞ。俺のチンポで女みたいによがるところとかな」 「お、兄ちゃんのチンポ使わせてくれるのか。それなら俺がよがるところなんていくらでも見せてやるぜ」  ……こんなに簡単に誘いに乗っかってくるとは思わなかった。 「あんた、女好きじゃなかったのか?」 「女は好きだが、ケツはちゃんとしたチンポじゃないと満足できなくてな。オモチャじゃ駄目なんだよ」  そういうタイプか。女に責められて尻が感じるようになって、そのうち本物のチンポを求めるようになる奴がいるんだよな。この男に変身した流動体のケツにあっさりチンポが入ってたから、この男自身がケツを使い慣れてるんじゃないかと思ってたんだが、やっぱりそうだったってわけだ。 「それじゃあ行こうぜ。近くに、試合見て興奮した連中が集まって盛り合ってるところがあるらしいんだ。でも……その前に飯かな。兄ちゃんもまだだろ?」  食べ慣れない亀のスープなどを食わされた後、近くにあった公園へ。一度通り過ぎたときは何にも思わなかったが、不自然な公園だ。  入り口のゲート以外は樹木の壁で仕切られて、外の道からは公園内がほとんど見えないようになっている。内部も樹木の壁が中途半端な迷路のように入り組んでいて、変なところにベンチやら寝転がれそうな大きさの謎の台などがある。管理小屋と書かれた建物には管理人がいて、有料の魔術式シャワーなどがあったり、セックスの時に必要な消耗品などが売られていたりする。公園のフリしたハッテン場みたいなものか。  男に指定されたベンチに座り、準備をしてくると言って別れた男を待つ。周囲を観察すると、あちこちで男同士盛り合っているみたいだが、今いる位置からは他の男がどこにいるのかは見えにくい。  しばらくしてあの男がやってきて、着ていた服を脱ぎ捨てる。自分も服を脱ぎ捨てて、裸で向かい合う。出し損ねた分を早く出したくてたまらないのか、男は既にチンポを勃ち上がらせている。俺がそこに触れる前に、男がしゃがみ込んで俺のチンポにしゃぶりつく。だらりと垂れ下がっていたそれは、男の丁寧な舌使いすぐに硬さを増していく。完全に勃ち上がったあたりで一旦顔を離して観察してくる。 「おー、目の前で見るとすっげえなあ。俺もチンポにはそれなりに自信があったんだが、やっぱり兄ちゃんの方がでっけえなあ」  そう言って、自分のチンポを近付けてくる。並べてみて比べると、男のチンポも充分に大きいと言えるが、俺のはそれより一回り大きかった。男は嬉しそうに口元に笑みを浮かべ、二本のチンポをまとめて握り、ごしごしと扱く。 「俺は女好きのつもりだけど、チンポは好きなんだよ。女にマンコとチンポ両方あるといいんだけどな。俺が満足するようなチンポは兄ちゃんみたいな男らしい奴にしかついてないんだよなあ」  男は二本のチンポをぶつけ合ってみたり、先端をくっつけ合ってみたりしてから、しゃがみ込んで再び俺のチンポを口に含む。チンポが好きと言うだけあって、俺のチンポを平気な顔して根本まで呑み込んでしまう。喉の奥にチンポが締め付けられる感じがたまらなく気持ちいい。俺が自分から腰を振ったり、頭を押さえつけたりするまでもなく、男が自分から頭を激しく動かし、ごぼごぼと聞いているだけで苦しくなりそうな音を立ててチンポを出入りさせる。しばらくそれを続けてから、やはり苦しかったのかチンポを吐き出してげほげほと咳き込む。息を整えてからにかっと笑いかけてきた。 「いいチンポだ。じっくり味わいたい気持ちもあるんだけどな。見てるとケツがうずいてくるんだよ。もう準備してきたからさ。それ、挿れてくれよ」  男は立ち上がるとベンチに手を突いて尻を向けてきた。そこには黒い何かがぐっぽりとはまった尻穴があった。男の手がそれを引き抜くと、ぽっかりと口を開いていた。どうやら自分で綺麗にして、オモチャを使って広げてきたらしい。隣に置かれた黒いそれはそこそこの大きさのあるアナルプラグだ。これをくわえ込んだまま、俺のチンポをしゃぶったりしていたんだな。  そんなものを見せられれば、俺だって一気に気持ちが昂ぶってくる。すぐに突っ込んでやろうと、自分の荷物を漁って潤滑油のボトルを探し当てる。何か気配を感じて視線を向けると、男の尻穴がこっちを向いていた。さっきまでベンチに手を突いていたはずだが、移動したのか立ち木に手を突いている。まあいいかと思い、潤滑油をその尻穴と自分のチンポに塗りたくる。そして、チンポを入り口にあてがうと一気に貫いた。 「うぐああっ!」  男が苦痛と快感の混ざったような声をあげる。少しきつめだが、このぐらいなら大丈夫だろう。男は自分から尻をこちらに押しつけてきて、もっと突いてこいと求めてくる。それに応えてやろうと腰を動かし、チンポを抜き差しさせ、奥をごりごりとえぐってやる。男が声を上げて…… 「おーい、まだかー。早く突っ込んでくれよ」  後ろからも男の声が聞こえてくる。慌てて振り返ると、そこにはさっきと同じ姿勢でベンチに手を突いて俺のチンポを待ち構えている男の姿があった。じゃあ今俺が突っ込んでるこいつは……慌ててチンポを引き抜き、こちらを向かせるとその顔は……同じだが、どこか違うように見える男の顔。これはまさか…… 「お前、さっきの試合に出てた流動体生物だな? 何でこんなところに?」 「えっ?」  本物の方の男もやっと状況に気づき、立ち上がって振り返る。見比べるとやはり同じ顔だ。だが、本物に比べると流動体男の方は表情の変化が少ない。肉体は再現しても精神は流動体生物のものだからだろう。肉体の状態に精神が引っ張られることはあっても、再現した人間と同じものにはならない。 「あー、本当だ。いつの間に。まあいいや。とにかく先に本物の俺のケツ掘ってくれよ」 「はいよ。というわけで、だ。お前は後だ。順番だぞ、順番。割り込むんじゃない」  流動体男は少しだけ落ち込んだような表情になり、ベンチに腰を下ろす。こちらの言葉は理解できているようだ。改めて、ベンチに手を突いた男の尻にチンポを突き挿れる。 「おおっ、入ってきてるぞっ。兄ちゃんのチンポ、奥まで届いてるぜっ」  男が嬉しそうに声をあげる。充分にほぐれている尻穴は俺のチンポを柔らかく包み、消化でもするかのように絡みついて優しく締め付けてくる。本当は女好きなのに俺のチンポがこんなに簡単に入ってしまうのだから、この男は余程尻を使い慣れているのだろう。手加減はしなくて良さそうだ。  奥まで突き挿れたチンポを、抜ける直前まで引き抜いていき、再び根本まで突き挿れる。最初はゆっくり、それから少しずつ動きを激しくしていくと、男は獣がうなるような声を漏らして身をよじる。しばらくそれを続けてから、今度は突き挿れたままのチンポを抜かずに奥をえぐるように掻き回す。 「ああっ、それっ、すげえっ、兄ちゃん、あがああっ!」  声を上げて暴れる男の身体を押さえつけながら腰を動かす。本当は同時にチンポを責めてやりたいんだが、体格が良く力も強い男を押さえつけながらではそこまで手が回らない。だから、突っ立っている流動体男に視線をやる。男に気付かれないように指示を出すと、流動体男は本来の紫色っぽい流動体の姿に戻る。そして、流動体が男の身体に絡みついて責め始める。 「あああっ、何だ、お前ら、二人がかりでっ、ああ、駄目だっ。もう出ちまうっ!」  男が身体を仰け反らせ、何度も大きく震わせる。前を覗き込むと、透き通った紫色っぽい流動体に絡みつかれた男のチンポから、白く濁った汁が大量に吐き出されるのが見えた。それは全て流動体に受け止められ、ゆっくり吸収されていく。 「はあ、ああ……ちょっと、ちょっと待ってくれっ。休憩、休憩だっ」  そのまま責め続けようとしたが、制止されてしまった。男は俺のチンポを抜いてベンチに腰を下ろす。こっちはまだ射精もしてないんだが…… 「ほら、お前の番だぞ」  男は同じ姿をした流動体男の腰を叩いて誘い促す。自分の番が回ってくるのを待っていた流動体男は、尻を突きだして俺のチンポを待ち構える。さっきも一度突っ込んだ穴なので、チンポを遠慮無く突き挿れる。 「ぐううっ……」  やはり男のものに比べると、ちゃんとほぐされていない穴は少しきつめだ。流動体男は苦痛の混じったようなうめき声を漏らし、反射的なものか少し前に逃げようとする。目の前にいた男が流動体男の身体を支え……いや、逃れられないように押さえつけているのか。  まずは単純な抜き差しから、尻の中の上の方を突き上げたり、下の方をえぐるように突き込んだり。尻の中の手前から奥までを激しく掻き回す。流動体男は支えられて立っているのがやっとのようだが、俺は気にせずに責め続ける。 「ああ、あぐううっ、ぐうあああっ!」  流動体男が大きな声を上げ、身体を大きく震わせると……その身体が人間の形を保てなくなり、本来の流動体に戻ってしまった。やはり人間を模倣して再現した状態では、一度絶頂に達してしまうと元の姿に戻ってしまうようだ。やはり、試合の時のように無理矢理形状を固定させないと駄目だったな。  流動体はぐったりとして、水溜まりのようになってしまった。俺はまだ射精していないんだ。こんなところで放置されるのは困る。というわけで荷物の中から魔力を補給するドリンク剤を出して流動体にかけてやると、ゆっくりと動き出した。だが、まだ人型を形成するまでにはいかないようだ。 「おい、俺も満足させてくれよ。それぐらいできるだろ?」  言葉を掛けてから、流動体をなんとか拾い上げて俺の身体に絡みつかせる。流動体は俺の身体から落ちないようにしっかり張り付き、チンポにまとわりついてゆっくり刺激してくる。手や口、尻穴などで刺激されるのとはまた違った快感。チンポ全体をとろかすように責められ、尿道にまで流動体が入り込んでくる。  そうしているうちに流動体は元気を取り戻してきたのか、少しずつ責める範囲を広げていく。乳首や腋など比較的敏感なところから、そうでないところまでを刺激してくる。更には尻穴にまで入り込んできて、中で暴れ始める。なかなか気持ちが良い。 「見てたらまた元気になってきちまったぜ。俺も混ぜてくれよ」  そう言って立ち上がった男が、再び元気を取り戻したチンポを流動体の中に突っ込んでくる。とろとろの流動体の中で、俺と男のチンポがぶつかり合う。二本のチンポは流動体にまとめて締め上げられ、同時に男の手でまとめて扱かれる。 「ああ、気持ちいいっ。このまま出してもいいよなっ?」 「大丈夫だろう。こういう流動体は、体液を好んですする奴が多いっ。こいつは恐らく、精液を好むようにできているはずだっ。ああ、俺ももう出るぞっ!」 「よし、一緒にイこうぜっ! おおおっ!」  ほぼ同時に、二本のチンポからザーメンが吐き出される。透き通った流動体の中で白いものがしばらく漂い、ゆっくりと消えていく。 「あー、気持ち良かった。この……流動体生物、いいなあ。連れて帰りたくなるぜ」  そんなに気持ち良かったのか、男がそんなことを言う。だから俺は、試合が終わってからちょっと調べたことを話してやることにした。 「連れて帰ったらどうだ。どうやらあそこの闘技場、流動体生物がよく脱走してるみたいだぞ。そのままいなくなることもあるらしい」 「そうなのか?」  流動体生物が頷くかのような動きを見せる。こうして見ると、少しは可愛く見えてくるようなこないような…… 「大体何人かに一人は俺やあんたみたいに流動体をしっかり感じさせる奴がいるらしくてな。こいつらは、気持ちいいセックスするとついそいつについていきたくなるらしい。で、時々脱走して、その中からたまに連れて帰っちまう奴がいるんだとさ」 「へええ。それで問題にならないのかな。後から金を請求されるとかは……」 「流動体の方が自分の意志で出てきたんだからいいだろ。それに、こういう流動体生物って作るのも増やすのもそんなに手間じゃないんだよ。少しだけちぎってそこからここまで増やすことだってできるぞ」 「そうかー。でもちぎるのはなんかかわいそうだよなー。このままがいいや。どうだ、お前、俺と来るか?」  男が言葉を掛けると、流動体は返事の代わりに男の身体を登っていった。 「さて……じゃあそろそろ戻るか。後で流動体生物の扱い方をちゃんと教えてやろう」 「おっ、そりゃあ助かる」  自分の工房に戻り、本来の仕事に戻る。依頼を受けて魔導具やら何やらを作ったり、自分が作りたいものを作ってみたり。  あの男に俺の工房の事を教えたら、あの流動体を連れて時々来るようになった。男は流動体の方が俺に会いに来たがるとかいってたが、男の方が俺のチンポを気に入った、というのが本音らしいな。  あの闘技場からはまた声がかかって、また観客の前で戦ったりセックスしたりしてくれ、なんて言われてるがどうしようかな。そうだ。今度は俺が作って調整した流動体生物を連れて行って売り込んでみてもいいかもな。相手が流動体生物だって知ってる奴も知らない奴もたっぷり搾ってやれる自信がある。  まあ、溜まってる仕事を片付けてからだな。